actVA-5破壊体の生産する新規化合物Xの構造を決定するため、actVA-5破壊体の液体培養ILから得た酢酸エチル粗抽出物を酸性条件下でメチル化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC分取により化合物Xのメチル化体3mgを精製した。続いて安定同位体含有酢酸の投与実験も行い、^<13>Cで標識した化合物Xのメチル化体を同様に取得し、それらのNMRスペクトルを解析した結果、化合物Xはperylenequinone型の新規sunt productであると決定しactinoperyloneと命名した。Actinoperyloneの構造は、actVA-5タンパクはmonooxygenaseとして働きアクチノロジン(以下ACTと表記)6位への酸素導入に必須であること、6位酸化に先立ってACTの15位の立体化学が(R)に決定されること、actVA-5タンパクの基質は6-deoxy-dihydrokalafungin(DDHK)であることを強く示唆するものであった。DDHKは不安定で取得不可能であるため、当初計画していたactVA-5タンパクの異種大量発現と精製実験の優先順位を、現時点では落とすこととした。 またactVA-5の相同遺伝子である、ランドマイシンA生合成遺伝子の一つlanZ5をactVA-5破壊体に導入し両遺伝子機能を比較検討するために、制限酵素サイトを付加したプライマーでPCRを行いlanZ5を増幅することに成功した。尚、先方のご都合により渡独・研究打合せは次年度に変更した。
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