本研究は、PNG西部州において展開されている商業的森林伐採の具体的事業内容及び、環境に対するインパクトを明らかにするとともに、商業的森林伐採に関わる多様なアクターの日常と言説を明らかにすることを目的としている。平成20年度は、上記のような調査、及び分析を計画していたが、データの分析に関してはほぼ上記の計画を達成できた。調査に関しては、現地治安状況の悪化により、パプアニューギニアにおける調査は中止した。一方、伐採を実施しているマレーシア企業の対する情報を収集するためにマレーシアにおける現地調査を新たに行なった。企業に関わる人員に対するインタビューには至らなかったが、各種資料を収集することが出来た。資料の収集、及び調査によって明らかになったことは以下の通りである。 1. マレーシア企業による西部州における商業的森林伐採は継続されている。2. その実施は、丸太生産から合板生産に移行しつつある。3. 世界的な不況により、木材需要は落ち込んでいる。 以上の結果、及び昨年度までに実施した研究を総合して、マレーシアにおいて一回研究発表を行ない、研究論文を1点執筆した。なお、マレーシアにおける発表は、現地研究者とのコネクションを重視し、本研究のテーマとは異なった内容である。ただしそのコネクションは今後のパプアニューギニア、マレーシア、日本の3国間における商業的森林伐採の研究を進めていく上で重要なものである。研究論文は、これまでのデータ分析の結果をポリティカルエコロジーの手法を用いながら総合したものである。当初の計画では単行本の発行を目指していたが、今の時点ではまだデータに偏りがあるため、今後の研究の展開によってその実現を考えている。
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