研究概要 |
本研究は、西アフリカ・サヘル地域の各都市に蓄積するゴミを土壌荒廃地に投入し、ゴミを分解するシロアリの生物活動と荒廃地における植物生産力の再生状況を追跡することによって、科学的に緑化技術としての有効性を評価することを目的としている。サヘル地域の各都市においては人口が集積し、都市内部に廃棄されたゴミや屎尿が蓄積している。たとえば、調査地であるニジェール共和国では、首都ニアメの人口が1905年には1,800人だったのが、1945年には7,000人、1970年には7万人、1988年には39万8300人、2001年には67万5000人に増加している。首都ニアメの食糧需要は増加し、地方から運ばれてくる農・畜産物を大量に消費している。近年、アフリカの各都市でゴミが散乱している光景をよく目にする。ゴミや屎尿の集積は、都市の内部を不衛生な状態にし、雨季にはコレラなどの伝染病が蔓延することもある。都市においてはゴミ処理の問題が深刻となっているが、ゴミには植物の生育に必要な養分が豊富に含まれていることが明らかになっている。西アフリカのサヘル地域においては農村における耕作地の砂漠化と、都市のゴミ問題が同時に進行しているのではないかという着想のもと、本研究は「都市-農村」間における物質循環を構築することによって、西アフリカにおける都市の衛生問題と農村における土地荒廃の防止と食糧自給の問題解決をめざしている。
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