本研究は2つの大きな柱から構成される。第1に、イタリア製造業センサス・データを利用して、イタリア製造業の地域・業種別、すなわち産業地域(Industrial Districts)別の時系列産業特性の抽出を行い、日・英・伊3カ国語で各編集データを公表することである。第2に、それにより得られだデータに基づいて日本とイタリアに存在する同類製品産業集積地域の変容と、その地域の中小企業が取り組む経営革新と産業地域との関連についてフィールドワークにより比較考察を行う。この2つの研究を総合的に行うことで、特定地域(トスカーナ州、エミリア・ロマーニャ州)に偏りがちなイタリア産業地域研究とは異なり、相対的で客観的なイタリア国内地域間比較、および日伊比較研究ぶ可能となる。 2年目となる本年度では、製造業センサス産業中分類から、県レベルの2001年従業者数の多い順番にランキングを作成し、業種別雇用集中度を公開するなど、データ編集・加工作業をさらに進展させている。それらは、http://homepage2.nifty.com/censusitaly/で公開しているところである。 フィールド調査では、フリウリ・ヴェネツィア・ジュージア州ポルデノーネ県一帯に広がる家具産地の調査を実施した。ここから、ロンバルディア州ブリアンツァ地域とマルケ州ウルビーノ地域との3大家具産地の地域的特徴と市場性が浮き彫りにできた。
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