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2008 年度 実績報告書

ナノ粒子による長鎖DNAの折り畳み : 人工クロマチンモデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 18719001
研究機関名古屋大学

研究代表者

ジンチェンコ エ.エ.  名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 講師 (00432352)

キーワードDNA高次構造 / DNA自己組織化 / 高分子-コロイド複合体 / クロマチンモデル / 転写活性 / ナノ粒子 / 単一分子解析
研究概要

本研究は、ゲノム二重らせんDNAおよびナノ粒子のコンプレックス形成による人工クロマチン(染色体)モデルとしての新しい生体模倣ナノ構造システムを創製し、人工クロマチン構造制御のメカニズムを理解することを目的とするものである。プロジェクトの最終年度では、ヒストンモデルとしてのナノ粒子の表面電荷と表面修飾剤のキラリティーの影響について下記のように研究した。
(1) 人工クロマチン構造の組織化の際、ナノ粒子の表面電荷の影響を徹底的に調べた。そのため、10-100nmサイズのナノ粒子の修飾条件を変えて、ナノ粒子サイズごとに表面電荷が異なる粒子群を合成した。DNA・粒子相互作用を蛍光顕微鏡および電子顕微鏡においてリアルタイム観察し、表面電荷影響は次のようになった。表面電荷の低いナノ粒子はDNAとほとんど強い結合しないが、高濃度の条件下はDNAがナノ粒子に折り畳まれる。従って、ナノ粒子の正味電荷が負の場合でも、ナノ粒子の表面上のDNAと結合する機能基がある場合、ナノ粒子がDNAに対して折り畳む働きをすることが明らかになった。より多くカチオン機能基を有するナノ粒子はDNAと結合し、高効率的にDNAを折り畳む。逆には、もっと高い陽電荷のナノ粒子のDNA凝縮効率が悪くなる。従って、DNA凝縮転移においては、ナノ粒子の最適表面電荷密度があることを明らかにした。
(2) 生体内でのDNAを折り畳むヒストンはキラルタンパク質であるが、そのキラリティーの役割はまだはっきり分かっていない。本研究では、キラリティーの役割を明らかにするため、人工クロマチンモデルを用いて検討した。粒子表面をキラルポリリシン(ポリ-L-リシンまたはポリ-Dリシン)で修飾し、粒子表面に吸着させたポリリシンのキラリティーのみで異なる100nmおよび10nmナノ粒子を合成した。キラルナノ粒子のDNA凝縮効率を調べ、いずれの場合においても、DNA凝縮効率に対してキラリティーの影響が与えられていない。従って、実際のヌクレオソームの場合でも、DNA折り畳み過程へのキラリティー寄与率が低いと考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Conformational Behavior of Giant DNA through Binding with Ag^+ and Metallization2008

    • 著者名/発表者名
      Zinchenko A. A., Baigl D, Chen N., Pyshkina O. A., Endo K., Sergeyev V. G., Yoshikawa, K.
    • 雑誌名

      Biomacromolecules 9

      ページ: 1981-1987

  • [雑誌論文] A Novel Type Cationic Silica Nanoparticles and its Potential Application in Biomedicine2008

    • 著者名/発表者名
      Liu L., Takenaka T., Zinchenko A. A., Chen N, Yue M, Yoshikawa, K.
    • 雑誌名

      Proceedings of International Conference on Bioinformatics and Biomedical Engineering 2008

      ページ: 1539-1542

  • [図書] "Single DNA Molecules : Compaction and Decomposition" in "DNA Interactions with Polymers and Surfactants", ed. Lindman B., Dias R.2008

    • 著者名/発表者名
      Zinchenko A. A., Pyshkina O. A., Lezov A. V., Sergeyev V. G., Yoshikawa K.
    • 総ページ数
      29
    • 出版者
      Willey -VCH

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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