ドイツ近世思想、特に18世紀の哲学思想に関しては、カントとドイツ観念論を中心とした思想史的な見方が強い。今回の研究は、そうした見方に対して、ランベルトの思想を通じて新たな視座を提供することが目的とされた。ランベルトはカントと同時代に生きたが、ランベルトの哲学には、ライプニッツの思想の重要な側面、すなわち概念結合術を展開し新しい真理を発見するという側面が含まれていることが明らかにされた。またランベルトの思想には、現代の論理思想、言語哲学のさきがけであるウィーン学派やクワインとの親近性があることについても新しい知見が得られた。さらに、情報学的観点からは、時間の概念が確率論的問題との関係から解明された。
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