禁裏及び旧宮家に伝来した歌道伝授関連資料に関する研究基盤の整備と研究モデルの構築のため、下記の調査を行い、完成した一部の成果については口頭報告及び学術論文の形で成果報告を行った。 (1)国立歴史民俗博物館所蔵の高松宮家旧蔵歌道伝授資料の調査・検討(継続) 平成18年度に調査を開始した上記所蔵の書誌学的調査を継続した。本年度は『詠歌大概』聞書類と、関連する資料として『古今和歌集』聞書類の調査を行った。資料を実見の上で書誌的調査を行い、重要な資料については写真版に複写し、テキスト個々の比較検討を行った。成果としては、従来、著述内容の同定がなされていなかった資料につき同定を行い、一部については学術論文として報告した。 (2)東山御文庫所蔵の禁裏伝来歌道伝授関連資料の調査・検討及び内容細目の作成 東山御文庫所蔵の『詠歌大概』聞書類について、マイクロフィルムを用いて内容の検討を行った。また、一部資料については、宮内庁侍従職より実見の許可を得ることができたため、原本資料の調査を行った。 (3)宮内庁書陵部所蔵の桂宮家旧蔵及び禁裏伝来歌道資料の調査・検討 本年度は『未来記・雨中吟』聞書類のマイクロフィルムによる調査を行い、従来、著述内容の同定がなされていなかった資料につき同定を行った。『伊勢物語』聞書類の調査のための予備的調査(所蔵データの収集と整理)を行った。 (4)重要資料のテキストデータ化と学術学会への報告 上記の作業と並行して、調査の途上で重要と判断された資料の画像・テキストデータ化を試み、一部資料については、学術報告として成文化した。また、学術会議(ハーヴァード大学、チュラロンコーン大学)において調査の成果を踏まえた学術報告を行った。
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