研究課題
本年度の研究の方向性は、1945年から現代までのフランスの現代詩における、ミニマリスムの領域を限定することである。そのため2人の重要な詩人を研究した。それがジャック・デュパンとアントワーヌ・エマズである。両詩人とも、研究は審美的ミニマリスム内でなぜ彼らが詩を書いたのかというその動機を理解することに焦点を絞った。彼らにとってのミニマリスムとは、単なる審美的現象というより、新しい価値付けでありまた人間同士の新しい結びつきを創造することが難しい作業であった。確かにどちらの詩人も、フランスに出現したイデオロギーの終結後に詩を書くことを決めた世代に属している。それ以前はコミュニスムが失敗し、歴史の進展という神話が集結した時代であった。その間この2人のミニマリスムの詩人たちは、ある特別な価値を持つようになる。ジャック・デュパンは、ミニマリスムは相互関連の全てのシステムにおいて激しい論争を生むとし、ミニマリスムの目的は、持続的なある種の言語的暴発において、外部の知覚を提示することと自己内部の知覚を提示することである。この言語的暴発とは、いかなる意味の啓発をも妨げてしまうものである(ある論考はこのトピックについて論じている:"人はジャック・デュパンの作品に通じている")。アントワーヌ・エマズは、ミニマリスムというのはむしろ一般の人々を繋げるような橋であるとしている。確かに彼にとっては、詩で彼自身の神話やことばを打ち壊さねばならないものであったので、彼の詩はますますシンプルなものになっていった。ミニマリスムは彼にとっては、ことばの気取りを論じる方法であった。イメージ、リズムそしてテーマは日常から抜粋されたもので、内と外との聖なる結びつきを新しく創造するものである。このようにしてアントワーヌ・エマズは、ミニマリスムというのは再び人間社会を結びつけるポスト・モダン的解決法であると考えた。人間社会は歴史の進展に対する信仰を失っていたからである(これに関する論考が二つある:"アントワーヌ・エマズにおける共通の場"と"神聖の剥奪について:アントワーヌ・エマズにおける苦悶と神秘")。
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2006 Annual Research Report, Special Research Project on Civil Society, The State and Culture in Comparative Perspective, University of Tsukuba (印刷中)
2006 Annual Research Report, Special Research, Project on Civil Society, The State and Culture in Comparative Perspective, University of Tsukuba (印刷中)