今日現代世界はグローバル化するとともに多極化し、人と人を繋いできた従来の価値は、この世界的状況にみあう新たな基盤を探索している。我々の研究は、フランスの現代詩人たちが「わずかな絆(lien du peu)」を軸に彼らのエクリチュールを展開することで、この問題にどのように応答せんとしたかを明らかにした。詩人たちは、我々を世界や人々と結びつけているものがいかにわずかな、ほとんど無といってよいものに拠っていることを確認することから出発し、言葉の節約、空無、残余、欠如、空虚の上に築かれうる生への関係に光を当て、かつ、平明さの簡潔性に基礎を置いた価値へのアプローチを強調したのである。
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