1960年代の「非公式文学・文化」におけるテクストと、ソ連時代の「公式文学」には、どのような相互関係があり、社会との関係・主題・モチーフ等においていかなる「連続性」があったのかについてイリヤ・カバコフを中心に研究し、3度の研究発表を通じて、国内外の研究者との意見を交換した(発表「イリヤ・カバコフのトータル・インスタレーションにおけるリアリティ」《第2回スラヴィアーナ・シンポジウム:創作におけるリアリティ-ロシア・ソビエト文化と現在》2006年7月28日・於東京外国語大学本郷サテライト、発表「1960年代のコンテクストにおけるモスクワコンセプチュアリズム」2006年1L月17日 1960年代社会文化現象国際セミナー・於モスクワ・国立ロシア人文大学、発表「ロシア系ユダヤ人非公式芸術家の世界観」北海道大学スラブ研究センター2006年度冬季国際シンポジウム《Beyond the Empire : Images of Russia in the Eurasian Cultural Context》2006年12月15日・於北海道大学スラブ研究センター)。またその成果を論文にまとめ刊行した。これらの報告、論文において、1960年代非公式文学・文化サークルにおける外部との「言葉」の連続性、言葉・テクスト・表象の発生のプロセスを考察した。また、それと平行してソ連崩壊以後の文学の諸問題(ソ連時代の詩の伝統、詩の朗読会というメディアはどのような変容を遂げたのか)についての研究に着手した。1999年前後のロシア文学の状況を中心に、詩と文学・文化の役割の変容を、社会的・文化的コンテクストから広く考察するために、「詩の衰退」の背景としての新生ロシアのテレビ・映画の復権について比較的に考察した。
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