本年度の前半は、前年度研究計画繰越に従い、そこまでの研究成果を内外で発表することに重点が置かれた。まず、韓国ソウルをベースとするINAKOS(International Association of Korean Literary and Cultural Studies)が発行する多言語雑誌『〓間SAI』第4巻(2008年5月号)に長編論文「崔載瑞のOrder」(291-360頁)を発表したが、同論文は、日本の英文学研究の視点から崔載瑞研究に画期をもたらすものとして内外で高く評価され、現在、韓国語訳が準備中であると聞いている。また、その成果を、同志社大学人文科学研究所・第9研究班(「ヨーロッパと日本における植民地主義と近代性 : 比較研究のパラダイム構築に向けて」)で発表する機会も得た。一方、前年度の一部繰越経費により、本年度夏季休暇にケンブリッジ大学キングズ・コレッジのアーカイブ調査を行った。 その後、西田幾多郎を中心に京都学派の思想に関する研究に着手するが、その基礎研究および更なる発展のために研究会を発足し、2009年度科学研究費・基盤研究(C)「後期西田哲学の比較思想史的研究-「歴史」「伝統」「弁証法」を中心に」の申請に至った。
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