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2007 年度 実績報告書

ヘミングウェイの遺作研究:オリジナル原稿の編纂方法とその問題点

研究課題

研究課題/領域番号 18720075
研究機関早稲田大学

研究代表者

杉本 香織  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (70409613)

キーワードアメリカ文学 / アーネスト・ヘミングウェイ / 死後出版作品 / マニュスクリプト研究
研究概要

本研究は、ヘミングウェイの死後出版作品のオリジナル原稿(以下OM)を、遺族や出版社によって編纂・出版されたテキストと比較することにより、彼らの編纂方法とその問題点を明らかにすることに主眼を置いている。平成19年度は、以下の1作品を取り上げ、OMの調査および分析を行った。
(1)『移動祝祭日』
『移動祝祭日』はヘミングウェイが1957年から60年にかけて断続的に執筆、彼の死後、妻メアリーによる編纂を経て、1964年に出版された「パリ・スケッチ集」である。しかし、この作品は1920年代当時のパリを映し出すだけの「スケッチ集」ではない。彼が遺した複数の序文および跋文の草稿には、想起される事柄の可変性と操作性、そしてこの作品がfictionであることが繰り返し述べられている。これらから垣間見えるのは、「20年代の等身大のヘミングウェイ」というよリ、むしろ20年代の自身を操ろうとする「50年代のヘミングウェイ」の姿である。ところが多くの先行研究は、この作品がnonfictionであることを前提に、作中のエピソードと彼の伝記的事実との照合に躍起になっているきらいがある。
この傾向を生み出した要因のひとつは、『移動祝祭日』を編纂したメアリーの編纂方法にあったと思われる。当作品のOMを検証していくと、彼女がオリジナル原稿から「50年代のヘミングウェイ」を切り離し、「20年代のヘミングウェイ」のみを前景化しようとした思惑が浮かび上がってくる。本研究では、彼女の編纂方法を検証することにより、この作品に対するヘミングウェイの作意が、彼女によっていかに「失われた」かを明らかにした。具体的には、彼女による章の入れ替えや、主人公ヘミングウェイを指す人称のゆらぎ(you/I)の統一、および複数の場面・文章のカットがオリジナル原稿に及ぼした影響を考察した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 「失われた」 A Moveable Feast-Mary Hemingwayの編纂方法とその問題点2007

    • 著者名/発表者名
      杉本 香織
    • 学会等名
      第46回 日本アメリカ文学会全国大会
    • 発表場所
      広島経済大学
    • 年月日
      2007-10-13

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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