平成18年度はWilliam Cobbett関連の資料収集を主に行った。Cobbettは多産な政治ジャーナリストであり、彼の全ての著作を精読することはかなり困難であるため、資料収集の範囲をイギリス経済、とりわけ、新紙幣制度や金本位制度に関する資料に限定した。発行部数が極端に少ない貴重なパンフレットや法案の議事録等、日本では入手や閲覧が不可能な資料についてはBritish Libraryに直接赴いて資料収集を行った。 研究内容としては、Paper Against Goldなど、新紙幣制度またはイギリス経済に触れたCobbettの著作の確認と精読、そしてその制度に対する彼の主張の整理を行った。彼は19世紀初頭に活躍した高名な経済学者であるDavid Ricardoや金に関してのパンフレットを数多く出版しており、それ以外にも、イギリス内の労働者層の愛読誌であったWeekly Political Registerにおいても、幾度となくそれらの事項に言及している。よって、パンフレットやこの雑誌に展開されている彼の主張についても同様に整理を行った。 また、上記の作業と並行して、Shelleyなどに代表される、関連する19世紀初頭のイギリス・ロマン派の作品の精読も開始したところである。 結果的に、研究発表が出来なかったが、平成19年度中にはこれまでの様々な成果をまとめ、査読付論文として投稿する予定である。
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