平成18年度は、イランの口承文芸に関するデータベースの作成、およびこれを用いた民俗学的分析について、下記に示した方法を中心に研究を行った。なお、データ入力や単純な作業については、ペルシア語の知識を有する研究補助者を活用した。 1.統語情報の付加:ペルシア語の単語単位でセグメント化された状態のXML形式の口承文芸資料について、GDA方式を応用する形で、依存関係、代名詞の照応先等の統語情報の付加を始めた。資料を分野毎に区切って計画的に進めた。本年度は102例について作業を行った。 2.意味属性情報の拡充:これまでに入力した意味属性を含む外部辞書ファイルを補足・拡充した。また、同外部辞書ファイルにおける統語情報を定義するデータの入力を行った。 3.イランにおける確認調査:1および2の作業で、ペルシア語資料について確認が必要な点が頻出したため、確認・補足のためのイランにおける資料収集を行った。 4.民俗学的分析:分析用の検索システムについて必要に応じた改良を行い、民俗学・民話学的観点からの分析、話者情報との複合分析などを視野に入れた試行的検索システムを作成した。実験的な段階ではあるが、統語情報を含む検索が可能となった。
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