平成20年度は、前年度までの研究活動を踏まえ、イランの口承文芸に関するデータベースの作成、イランにおける補足調査およびこれを用いた民俗学的分析に係る作業について、下記に示した方法を中心に研究を行った。なお、データ入力や単純な作業については、ペルシア語の知識を有する研究補助者を活用した。 1. 統語情報の付加 : 昨年度に引き続き、ペルシア語の単語単位でセグメント化された状態のXML形式の口承文芸資料の一部資料について、2の意味属性情報の拡充作業に付随する作業として、GDA方式を応用する形で統語情報に付加すべきデータの見直し作業を行った。 2. 意味属性情報の拡充 : これまでに入力した意味属性情報を補足・拡充した。具体的には外部辞書ファイル内において複数の語義がある単語について語義ごとにデータを分割した。これに対応して、試験的に一部の口承文芸資料のXMLデータ内に出現する単語について語義が特定できる形で外部辞書内のデータにリンクさせた。 3. イランにおける補足調査 : イラン・イスラム共和国内において、フィールドワークによって口承文芸に関する現地調査を行い、音声資料および画像資料を収集した。調査内容-以前のイランでの調査の資料における不明箇所の確認調査を実施した。また、テヘラン州の3地点において口承文芸の採録調査を行った。 4. 民俗学的分析 : 上記2で拡充された意味属性情報を分析用の検索システムに反映させ改良を行った。一部のデータについて、単語と語義が一対一で対応する形で意味属性情報の検索ができるようになり、分析の精度が向上したシステムとなった。
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