20年度は、昨年度につづき当該研究に関わる資料や文献の調査、整理、分析を進めながら、研究成果の公開に努めてきました。資料調査の方では、現在日本に所蔵されていない中国側の資料(「満洲国」時期のハルビン、瀋陽(奉天)、長春(新京)で発刊された『国際協報』、『哈爾濱日日新聞』、『哈爾濱公報』、『民声晩報』、『大同報』などの新聞や雑誌)に対する発掘調査の作業をおこないました。一部の資料の所在が調査で新たに判明し、研究テーマに関わるところを部分的に複写してきました。また、マイクロフィルム化された資料を一部購入しました。現在、これらの資料を分析しながら、整理作業を進めています(記事見出しのデータベース化を進めています)。 また、中国側研究者と学術交流を進めてきました。資料調査で訪中する際に、関連分野の専門家や関係者と研究会や懇談会を開くなどして、意見交換をおこないました。交流をきっかけに、中国側の研究成果を日本の研究誌に翻訳紹介しました。また、8月に日本でおこなわれた国際シンポジウムに参加し、研究成果の一部を発表する機会に恵まれました。このように、日中双方の研究成果を互いに紹介する研究活動も進めてきました。今後も学術交流(特に研究者の往来などの人的交流の面で)をさらに深めていきたいと考えています。 一方、世話人として関わっている「満洲国」文学研究会の運営を通じて、昨年度は二回の研究発表会や数回の懇談会・読書会を開催してきました。研究会の論文集『中国東北文化研究の広場』第二号を刊行し、関連の研究者や研究組織との交流も深めてきました。
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