本研究は、認知言語学に基づいてアイヌ語基礎文法を網羅的に分析・記述し、その結果を汎用性の高い資料として提供することでアイヌ語の研究と学習・教育に寄与することを目的とし、(1)基礎文法が伝統的なアイヌ語学でどう扱われてきたかを総覧し、(2)それらの扱いが理論言語学でどう位置づけられるかを同定し、(3)認知言語学に基づいてどのような観察・分析・記述が得られるかを明らかにした。こうした結果は、今後一般言語学に共通の用語・概念を用いた文法書・文典の形にまとめてアイヌ語研究の進展に資すると共に、基礎文法の概説書・参考書を編集してアイヌ語の学習と教育に貢献することに役立て得る。
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