平成20年度においてはまず前年度までのテキストデータベースに基づく研究によって得られた成果の検証とまとめを重点的に行った。4月にはポーランド共和国、5月にはオーストリア連邦共和国で開催された研究集会に参加し、研究の中間成果の一部を発表、各国の研究者との意見交換を行った。また、10月にはポーランド共和国より関連分野の世界的研究者を招聘し、研究成果について意見交換を行った。 9月以降の研究では、そうした関連分野の他研究者との議論を通じて得られた知見をフィードバックし、テキストデータベースから得たデータを再検討し、データベースの信頼性をより高くすることもできた。また同時に、研究対象として重点的に扱った言語以外の諸ゲルマン語に関する資料を参考に、それまでの研究成果を改めて検証することもできた。 その結果、最終的にゲルマン語の動詞接頭辞のアスペクト・ヴォイス機能の諸タイプ、そしてそれが歴史的変遷の過程でどのように変化してきたかについて理解を深めることができた。また、研究の過程で、動詞接頭辞が転換動詞の場合とそうでない動詞の場合では異なる働きを見せることも明らかにすることが出来た。
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