研究概要 |
18年度は,データベース作成の基礎的作業を中心的に行った。 (1)資料の電子化(東京大学文学部小倉文庫所蔵文献)…『朴通事新繹諺解』(1765),『華語類抄』(刊年未詳,2版あり),『伍倫全備諺解』(1721)等,16-19世紀中国語-朝鮮語対音資料を中心に,また近代朝鮮語の音韻論的性質を知るため,『日韓善隣通語 巻之下』(1881),『善隣通語』等日本語との対音資料も数種合わせ,貴重書のマイクロフィルム撮影・電子化を行った。 (2)文献調査…各文献の詳細(主として書誌学的情報)を検討するため,東京大学小倉文庫及びHarvard Yenching Libraryにおいて,所蔵される19世紀中国語-朝鮮語対音資料(『華音啓蒙諺解』『千字文』等)の原本調査を行った。 (3)資料の入力(テキストファイル化)…原本調査もしくは電子化資料/影印本に基づき,研究対象となる資料をアルファベット転写によりテキストファイル化した。本年度は,『華音撮要』『中華正音』『華音啓蒙諺解』『千字文』等の文献のテキストファイル化を完了した。 (4)文献学的検討…東京大学小倉文庫,Harvard Yenching Libraryに所蔵される『華音啓蒙諺解』について,先行研究(鵜殿倫次1985)で指摘されている東洋文庫,西尾市立図書館岩瀬文庫,大阪府立図書館所蔵の諸版との違いについて検討した。 (5)以上の調査・研究と並行し,広く借用語音韻論研究(個人研究及び共同研究)を進めると同時に,本研究の資料分析に際し必要とされる,朝鮮語の音声学的・音韻論的検討を進め,朝鮮語母語話者からの音声資料収集を行った。
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