平成18年度は、本研究計画の初年度にあたるため、設備備品を購入する必要があった。手話言語は、音声言語とは異なり、視覚および空間というモダリティーを使用するため、手話母語話者(ろう者)から直接収集する精密な言語データは、ハイビジョンビデオカメラによって記録することが不可欠である。記録された言語データは動画を扱うことが可能なソフトウェアを使用してコンピューター上で分析を進め、言語データの動画はハードディスクやDVDなどの光ディスクに保存する。これらの作業を行なうため、ビデオカメラー式(ソニー社製デジタルハイビジョンビデオカメラ)およびコンピューター一式(アップル社製デスクトップコンピューター。モニタなどの付属品を含む)、データ保存用の外付けハードディスクのほかに、動画を観るための装置一式(テレビ)などを購入した。また、消耗品としてビデオテープ、DVDディスクなども購入した。これらの設備備品のほかに、手話言語学研究に関連する書籍を多数購入した。 実際の研究計画としては、諸般の理由により、国外に赴いてデータ収集を開始するには至らなかったが、2006年12月には、手話言語学界において最大の研究大会である「手話言語学研究の理論的問題」(TISLR : Theoretical Issues in Sign Language Research)第9回大会(ブラジル・サンタカタリーナ連邦大学Universidade Federal de Santa Catarina)において研究発表を行なった。 また、この研究発表による渡航に相前後して、アメリカ国内において、図書購入を含む資料収集を行なった。一方、国内では、日本手話学会を含む諸学会への参加に加え、日本手話の言語データを収集し、また、日本手話に対する知見を得るためセミナーなどにも参加した。
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