本研究は日本語母国語話者の外国語における心内辞書の影響をさらに明らかにするために、6つの実験を計画している。これらの実験はImai et al.(2006)のスペイン語母国語話者の第二言語(英語)の語彙理解に関する研究と申請者が行った日本語母国語話者の第二言語(英語)の語彙理解における研究の2つの相違点について検討を行うものである。 平成18年度は2つの研究の相違点は、使用した刺激後の違いにおけるものであるという可能性について検討を行った。日本語母国語話者と英語母国語話者の比較対象研究として、2つの実験参加者群(英語母国語話者と日本語母国語話者(英語初級者))と2つの刺激語群(英語母国語話者によって録音された刺激語と日本語母国語話者によって録音された刺激語)の組み合わせによる4つの実験(実験1〜4)について行う予定であった。実験では、Imai et al.(2006)で使用した同様の刺激語を用いている。隣接語(高い語群と低い語群)と語彙頻度(高い語群と低い語群)が考慮されている。刺激語は英語母国語話者と日本語母国語話者によって録音された。日本語母国語話者については、発話される英単語には日本語の音韻特徴が顕著に見られるが、英単語とはっきりとためらいなく発話できる話者によって録音されたものである。実験方法は、刺激語をノイズの中で提示し、単語がわかった時点でボタンをおし、その単語をロニマ字で入力するというものであった。 本年度予定していた4つの実験のうち、日本語母国語話者(英語初級者)を対象とした2つの刺激語群を用いた実験(実験1・実験2)を実施し、現在、実験データについて分析を行っている。しかしながら、英語母国語話者の実験については、本年度は実施することができなかった。平成19年度に予定している2つの実験とともにに引き続き行う予定である。 本年度はこのほかに、日本語母国語話者の日本語における心内辞書における語彙間の隣接効果について明らかにする研究の一部を成果として発表した。
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