本研究の目的は、幕末から明治二十年頃までに編纂された日本語・西洋語対訳の会話集について、日本語史資料として多くの研究者が利用できるよう整備することにある。平成18年度の主な研究実績は以下の通り。 1.幕末から明治十九年までに刊行された会話集の全貌を明らかにすべく、約50の会話集について調査を行ない、その影印・コピー等を収集した。 2.上記の資料について、以下のような資料群に大別し、内容を検討した。 オランダ語対訳の会話集 蘭学系英会話集 中国系英会話集 欧米人による会話集 外国会話集を底本とする会話集 Bellenger"New Guide to Modern Conversation"の系統の会話集 Chouquet"Easy Conversation in French"の系統の会話集 Bartels"The Modern Linguist or Conversation"の系統の会話集 その他の系統、または系統不明の英会話集 3.上記の資料に対する先行研究を集め、各資料における研究の現状を把握した。 4.アーネスト・サトウ"Kuaiwa Hen"(明治六年刊)について、翻刻・索引化作業を開始した。 5.Bellenger系統の会話集である村松守義『明治会話編』(明治十八〜十九年刊)について、Bellengerの会話集以外の底本を発見し、その編纂方法を考える手がかりを得た。
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