当該年度は本課題の最終年度にあたる。本課題のまとめとして、以下の3つのことをおこなった。 1. 文末詞「ガ」の対照の試み 本研究の最終的な目標は、統一的な枠組みで確認要求表現の記述をおこなうことによって諸方言の確認要求表現を対照することにある。本課題はその基礎的段階として要地方言の記述をおこなうものであるが、次の段階の試みとして本課題でおこなった記述をもとに対照研究を試みた。西日本一帯で用いられる文末詞「ガ」に注目し、用法ごとに比較対照した。その結果、文末詞「ガ」の用法の違いには一定の傾向生が見いだせることが明らかとなった。また、この傾向性は文末詞「ガ」の発達過程が反映されたことを示唆するが、この点については更なる検討を要する。 2. 若年層話者が用いる確認要求表現の素描 7大学の大学生に対して実施したアンケート調査をもとに、若年層話者が用いる確認要求表現を概観した。この調査により、全国の確認要求表現に用いられる形式とその大まかな用法を把握することができた。これは本課題の主目的である1地点の詳細な記述を補うものとして位置付けられる。 3. 鹿児島県奄美大島方言の追加調査 文末詞「ガ」を用いる方言として、奄美大島方言の記述を行ってきたが、その追加調査をおこなった。 本課題は、資料が不足している確認要求表現の記述を行い、次の段階の基礎的資料として残すことが目的である。未だ記述できていない方言は多いが、本課題で記述の方法を整備し、要地方言の記述を残すことができたと考える。今後は記述を踏まえ、1のような対照の段階に重点を置いて進めていきたい。
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