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2008 年度 実績報告書

キリシタン版羅葡日辞書の原典的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18720120
研究機関国際基督教大学

研究代表者

岸本 恵実  国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (50324877)

キーワード国語学 / 言語学 / 辞書 / ラテン語 / ポルトガル語 / 日本語 / 羅葡日辞書 / キリシタン
研究概要

本年度は昨年度の成果をもとに1・2をまとめ、キリシタン版『羅葡日辞書』とその典拠カレピヌスの関係のみに留まらず他資料を含めた考察へと展開させ、3および4のことを明らかにした。
1、宣教を意識した原典の改変
『羅葡日辞書』の日本語訳は原典カレピヌスに基づくポルトガル語抄訳と原典とを参照して作られたものであるが、日本イエズス会の編者たちが宣教を意識して改訳したとみられる箇所がある。
2、キリシタンの棄教を表すにうぶ」という語
「ころぶ」という語は、禁教政策が本格化した17世紀初めには、語義に基づき比喩的な表現として使用されており、その後の迫害の規模や峻烈さから、対象をキリシタンに限定した用法が短期間で定着したとみられる。
3、『羅葡日辞書』の錯誤と製作工程
『羅葡日辞書』現存諸本は、巻末の正誤表や印刷後の書き入れにより一部訂正されているものの、多くの誤りを含んでいる。これらの錯誤と訂正の分析から、原稿作成と印刷の複数の工程で誤りが生じていたこと、訂正作業もほぼ同時進行的に複数の段階で行われたことが推測される。
マノエル・バレト自筆『葡羅辞書』(1606-1607年写)は『羅葡日』を主要な典拠にしているが、『羅葡日』において訂正されている箇所について、訂正前と同様に誤っているものと訂正後と同様正しいものとの両方が見られることから、バレトが参照した『羅葡日』が現存する諸刊本と若干異なっていた可能性がある。
4、キリシタンの聖人崇敬
トレント公会議を背景にキリシタン時代日本にも聖人崇敬の教えが伝えられたが、戦闘時に聖ヤコブ(サンチャゴ)の名を叫ぶ習俗や聖書に見えない聖人の伝説なども伝わっていたことから、キリシタン時代受容されたキリスト教が中世の流れを強く受けていたこと、ポルトガル・スペインの地域色の濃いものであったことが明らかである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] キリシタンの棄教を表す「ころぶ(転ぶ)」という言葉について2009

    • 著者名/発表者名
      岸本恵実
    • 雑誌名

      アジア文化研究 35

      ページ: 111-123

  • [雑誌論文] 『羅葡日辞書』の錯誤と製作工程2009

    • 著者名/発表者名
      岸本恵実
    • 雑誌名

      京都大学国文学論叢 20

      ページ: 1-16

  • [雑誌論文] 宣教を意識した『羅葡日辞書』の日本語訳2008

    • 著者名/発表者名
      岸本恵実
    • 雑誌名

      訓点語と訓点資料 121

      ページ: 1-12

    • 査読あり
  • [学会発表] キリシタンの聖人崇敬2009

    • 著者名/発表者名
      岸本恵実
    • 学会等名
      キリシタン学研究会例会
    • 発表場所
      日本女子大学
    • 年月日
      2009-03-19
  • [学会発表] キリシタン版『羅葡日辞書』正誤表に関する報告2008

    • 著者名/発表者名
      岸本恵実
    • 学会等名
      東京外国語大学AA研共同研究プロジェクト「宣教に伴う言語学」研究会
    • 発表場所
      東京外国語大学
    • 年月日
      2008-09-16

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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