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2007 年度 実績報告書

東北シラビーム方言における拍の長短現象に関する音響学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18720123
研究機関いわき明星大学

研究代表者

大橋 純一  いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (20337273)

キーワード方言学 / 音響音声学 / 東北方言 / シラビーム方言 / モーラ方言 / 特殊音 / 持拍の長短現象 / 持続時間
研究概要

本研究は、東北シラビーム方言の実態を音響分析によって定量化するとともに、それ(シラビーム方言)の具体的な分布地点、モーラ方言との境界関係等を明らかにすることを目的とするものである。本年度は、昨年度の一極集中的な調査による成果と反省を踏まえ、むしろ北奥・南奥方言より対象地点を均一的にとり、各々においてどのような特徴や実相差が指摘しうるのかを追究しようとした。また、それに際しては、持続時間の特殊音別傾向、音環境(当該特殊音の語中における実現位置)別傾向も比較・検討し、シラビームの実現の実際をより細密に見きわめようとした。
その結果、(1)長音(短呼)と撥音・促音(長呼)との間に明確な持続時間の差異が指摘されること、(2)音環境によっても現象が左右される場合があり、単独音節や語末環境では顕著なシラビームの実態にあるのにひきかえ、非語末環境ではほとんどそれがみとめられないこと、(3)加えて連母音融合音、音の様態を模したオノマトペにも現象がみとめられないこと、(4)当該特殊音が独立しないというよりは話速全体が短呼・縮約される現象が多見され、その傾向は特に北奥方言の場合により強くみとめられること、(5)つまりは、従来の音韻現象が、生理的な発音事情に規定された音声現象へとその性質を変容させつつあること、等が明らかとなった。
シラビーム方言は、その存在こそ確かながら、上記の(5)にもみとめられるように、以降は衰退の一途であることが必至である。その一端を、特殊音別・音環境別に、またそれを音響学的に明らかにしたことは、実態の定着・記録という点からも大きな意義を有すると思われる。今後は、以上の究明点をさらに多地点・多人数にわたって調査・検証していくことが肝要である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 東北シラビーム方言における特殊音素の実現の実際2008

    • 著者名/発表者名
      大橋純一
    • 雑誌名

      いわき明星大学人文学部研究紀要 21

      ページ: 28-40

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ガ行鼻濁音の実態と評価の変遷2007

    • 著者名/発表者名
      大橋純一
    • 雑誌名

      国語論究 13

      ページ: 202-220

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 言語接触地域における/-i/ /-u/の実相と分布-新潟県北部方言の揚合-2007

    • 著者名/発表者名
      大橋純一
    • 雑誌名

      音声言語研究のパラダイム

      ページ: 39-54

    • 査読あり
  • [学会発表] 国際社会・国際交流における方言の役割2008

    • 著者名/発表者名
      大橋純一
    • 学会等名
      新潟県方言研究会
    • 発表場所
      アトリウム長岡
    • 年月日
      2008-03-30
  • [図書] ガイドブック方言調査2007

    • 著者名/発表者名
      小林隆・篠崎晃一編
    • 総ページ数
      1-280
    • 出版者
      ひつじ書房

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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