研究概要 |
Shorter Oxford English Dictionary (CD-ROM)の検索機能を用い、接尾辞ごとの強勢パターンの計量を開始した。その中で、ほぼカテゴリカルに(例外がほとんどなく)ある強勢パターンを持つ接尾辞がある一方(-icなど)、二つ(ときには三つ)のパターンを持ちうる接尾辞が存在することが明らかになり(-aryなど)、それが部分順序付け理論で適切に分析できることがわかった。この研究結果は日本音韻論学会のPhonology Forumで口頭発表され、さらに同学会機関誌『音韻研究』で発表された。 Fudge(1984)の調査に基づいて英語接尾辞全体における強勢パターンの割合を調査し、その分布がどのように理論的に予測できるか考察を行った。その結果、部分順序付け理論でもある程度分布と一致する予測が可能であるが、確率論的最適性理論はさらに精密な理論化が可能であることが示された。この成果は、『外国学研究』(神戸市外国語大学研究所編)で発表された。しかしこれはSOEDに基づく包括的な調査ではないため、中途報告的なものである。 接尾辞の強勢パターンとカテゴリカリティの問題は、語彙音韻論のクラス性のそれと大きく関係する。SOEDに基づく数量的な調査により、従来の二つのクラスのどちらかに属すると分析するには例外が多すぎる接尾辞のタイプが存在することがわかった。これは以前から時折指摘されてきた事実ではあるが、その「例外」が実際にどれぐらいあるかを数量的に示し、またこの問題のタイプに属する接尾辞を新たに発見したことが大きな貢献である。この成果は論文集『言葉の絆』(卯城他編,開拓社)にて発表された。
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