研究概要 |
本研究は,日本語の第一言語語者によって書かれた文章における「談話展開指標」、すなわち接続詞を中心とした表現群(いわゆる「接続表現」)の機能領域を解明し、それを日本語学習者のための教材として役立てることを目的としている。 2006年度は、新聞、論文、エッセイなどによるコーパスの構築をおこなった。2年めの2007年度は、年度なかばにそのコーパスをほぼ完成させ、貝体的な分析の作業に入った。まだ、分析を開始して日が浅いので、成果は部分的にしか形になっていないが、それぞの接続詞の持つ機能領域が、コーパスをとおして徐々に見えてはじめている。 研究を進めるさいの手続きであるが、個々の接続表現が持つ機能領域の広狭を調べるには、少なくとも三つの方法がありうる。第一の方法は、個々の接続表現の先行文脈、後続文脈の機能領域を実際に数え、その傾向を探るものである。第二の方法は、ある接続表現の機能領域に別の接続表現の機能領域を含んでいる場合を取りだして数え、どのような接続表現が支配的に働く傾向があるのかを見るというものである。第三の方法は、複数の接続表現が連続して使われた場合(いわゆる「二重使用」)にその相互承接のあり方を見るというものである。現状は、この三つの研究方法を組み合わせて、それぞれの接続表現の機能領域を統計的に分析している段階にある。
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