今年度は印象評定尺度を決定するための前段階の作業を行った。まず、印象評定尺度に用いる候補となる語を抽出し、次に印象評定をしやすくするため、「非母語話者による日本語話し言葉コーパス」の各講演から3箇所の聴取単位を切り出した。 1.印象評定尺度策定(自由記述式) 音声や音楽、ニュースなどに対する印象評定を行っている研究発表・論文などから、用いられている評定語を収集した。また、実際に『非母語話者による日本語話し言葉コーパス』に収録されている講演音声(6名分)を被験者に聴取させ、各講演に対する印象を自由記述させた。この自由記述文より音声の印象を表す形容語を抽出し、収集した評定語のうち、同義語や了解性の低い語を削除した。 2.音声の切り出し 講演の時間的推移に伴う印象の変化を評定するには、講演を分割してそれぞれの箇所に対して評定する必要がある。また、各講演は短いものでも10分以上あり、講演全体に対して印象評定を行なうのは多大な負担がかかる。そこで、以下の方法で各講演から3箇所の聴取単位を切り出した。 (1)講演を、「講演の冒頭」「講演の中盤」「講演の終盤」に分ける。 (2)これらの中から意味上のまとまりを持ち、文末表現1で終わる箇所を選ぶ。 (3)この際、200ms以上のポーズまたは明確な文末表現で区切られた転記基本単位で切る。 (4)「これから○○というタイトルで発表します」などのようなメタ的表現を述べている箇所は外す。 (5)10秒以上のポーズを含む箇所は対象としない。 (6)1つの聴取単位が1分前後の長さになるようにする。
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