1.研究経過について 本研究は、初任期日本語教師に対する発達支援の必要性から、教師教育で注目されているメンタリングの方法として、多文化間教育で実践され効果をあげているジャーナル・アプローチを導入した筆者の研究である「ジャーナル・アプローチによるメンタリング」という長期的なプロジェクトの一部である。そして、ジャーナル交換というメンタリング過程においてプロテジェ(被支援者)が内面的にどのように変化したのか、つまり、長期間のジャーナル交換の中でメンター(筆者)とプロテジェ(研究協力者)の問にどのようなやり取りがあったのか、どのような関係が築き上げられたのか、そして何がメンタリングとして機能したのかを実際に両者の間で交わされたジャーナルを分析資料として用いることで明らかにすることである。 研究開始時点の平成18年4月においては初任期日本語教師2名とのジャーナル交換を行っていたが、年度半ばで終了し、新たに同本語教師となった1名とのジャーナル交換を開始した。ジャーナル交換を終了した2名のジャーナルは電子化作業に移った。 2.研究成果について 電子化されたジャーナルの本格的な分析は来年度行うが、予備的な分析から得られた知見等をいかに示したい。 ・ジャーナル交換による対話において、双方に「気づき」を伴う内省が行われる。 ・同じ話題が複数回現れる。 ・プロテジェ2名がともにキャリア・アップを行ったことから、ジャーナル・アプローチによるメンタリングは心理・社会的機能のみならず、間接的にキャリア的機能を提供できていた可能性がある。 3.来年度の研究の展開について 電子化されたジャーナルをもとに、本格的な分析を行い、メンタリング過程で何が起こったのかを明らかにする。また、継続中の1名についてはメンタリングを続ける。
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