本年度は、平成18年度の成果を踏まえたうえで、以下の(1)から(5)の調査・研究を行った。 (1)リーディング・リテラシーに関連する国内外の論文、文献、教科書、HP等の更なる情報検索・収集、(2)(1)の情報の整理・分析・入力、(3)専門家(コミュニケーション教育研究者)との共同作業による、医療系単科大学(医学部)の初年次教育における表現技術系科目(必修科目)のシラバスおよびカリキュラムの再デザイン、(4)(3)の結果のリーディング・リテラシーに注目した分析、(5)専門家(図書館司書、リーディング・リテラシーを駆使している患者会の会員)との共同作業による医療系大学生を対象とした読書課題のデザイン (1)および(2)の情報収集は、主対象は成人だが、読書体験およびリーディング・リテラシーのレベルが異なる学生に対応できるよう、初中等教育におけるリーディング・リテラシー関連科目・活動に関する文献・情報の収集も行った。本年度は「図書館の活用力の向上」および「人間性の涵養」につながる本および情報の収集にも力を注いだ。その際に、公共図書館、医学図書館、病院図書館、患者図書館の現状に精通している専門家および医療者に期待するコミュニケーションカ・リテラシーについて実体験をもって深く理解している患者会会員による情報提供が非常に役立った。 (3)から(5)の調査・研究は、医療系大学生の置かれている状況、医療系大学生への社会の期待などを考慮したカリキュラム・デザインを目標に行われた。成果の一部を学会で口頭発表し、認知心理学の観点からの有益なフィードバックを得ることができた。
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