研究概要 |
社会語用論的な視点から、本研究は語学教室内外の学習活動に焦点を当て、英語初心者である大学生低学年の授業中の練習と.授業外の自由会話場面における相互行為的現象を比較することを目的とする。主な研究方法として会話分析を取り上げ、本調査は、限りのある外国語言語力量にも関わらず、第二言語の初級レベル話者がいかにintersubjectivity(間主観性)を達成するのかということについて理解を深めることを目指している。 流暢話せるようになるためには、学生は教室のような保護された環境で英語を練習するとともに、授業外でも実際のコミュニケーションの場でも練習する機会を与えられなければならない。本研究企画は現在、神戸大学で行う英語授業の語学学習活動(英会話テズト、グループ活動など)及びHUBと言われる学生同士が外国語で留学生TAと自由に交流できる部屋での様子を録音・録画し、それらの映像を集めて分析している。現段階で、およそ20時間のデータをビデオ記録し、詳しく転写しているところである。それと同時に分析の元になる観察も行っている。その極めて参加者の観点を中心とするradically emic分析は、連続的な行為(sequential actions)を初めに,発話順番構造(turn-taking procedures),修正(repair)、有標性(preference)等の会話の社会的基本構造となる概念を十分参考にしながら、進めていっている。初心者外国語話者は日本人同士での英会話が成功するが、英語が母国語とする人と会話するとそうはいかないことがよくある。その理由の一つは、英語の母語話者が持つ社会文化的及び言語的な共通認識は日本語の非母語話者には有利に働かないからである。 調査の目的となる、ミクロ相互行為的なレベルの細かい観察・分析によって、日本の大学生が授業外の少人数グループで英語を母国語とする人と自由会話をするときと外国語教室活動で初心者同士が英会話するときを比較し、それぞれの相互行為的なpractice(会話上の社会的現象)を発見することが順調に進んでいる。
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