研究概要 |
社会語用論的な視点から、本研究は語学教室内外の学習活動に焦点を当て、英語初心者である大学生低学年の授業中の練習、オーラル試験など及び授業外の自由会話場面における相互行為的現象を比較することを目的とする。主な研究方法として会話分析を取り上げ、本調査は、限りのある外国語言語力量にも関わらず、第二、言語の初級レベル話者がいかにintersubjectivity(間主観性)を達成するのかということについて理解を深めることを目指している。 19年度に神戸大学で行う英語授業の語学学習活動(英会語テスト、グループ活動など)及びHUBと言われる学生同士が外国語で留学生TAと自由に交流できる部屋での様子を録音・録画し、さまざまの映像を集めて分析してきた。現段階で、およそ20時間のデータをビデオ記録し、詳しく転写しているところである。それと同時に分析の元になる観察も行っている。分析は、連続的な行為(sequential actions)を初めに,発話順番構造(turn-taking procedures),修正(repair)、有標性(preference)等の会話の社会的基本構造となる慨念を十分参考にしながら、進めていっている。 そして、まだわずかだが、研究結果を公表しはじめている。平成19年7月にスウェーデン・エーテボリ大学に行った国際語用論学会(IPrA)の第10回大会に参加しきた。招待colloquiumで「Accomplishing(non)nativeness in bilingual interaction」を題にして自然会話上で母語話者・非母語話者のあり方及び関係に関しての分析研究を発表した。 また、同年11月に行った全国語学学会の国際大会(東京会場)にて、「Receipt Through Repetition」(繰り返しによっての受け取り行為)についても研究発表をした。この研究は日本人大学生のオーラル英語テストや自由会話に観察できる現象を会話分析によって明らかにした。本研究に基づいた論文を国際研究雑誌に投稿し、現在査読調査中である。 調査の目的となる、ミクロ相互行為的なレベルの細かい観察・分析によって、日本の大学生が授業外の少人数グループで英語を母国語とする人と自由会話をするときと外国語教室活動で初心者同士が英会話するときを比較し、それぞれの相互行為的なpractice(会話上の社会的現象)を発見しすることが順調に進んでいる。
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