研究概要 |
本研究の目的は, 学習者が行う英語学習活動を, 様々な学習者要因から複合的に影響を受ける有機的なシステムと捉え, 日本人英語学習者の英語学習活動に影響を与えている要因やその関係を分析することである。学習者要因の中でも, 本研究では特に, 学習者の学習動機, 日本語力, 個性, 英語力の関係に焦点を当てている。 研究最終年度の本年は, 2年目に行った本調査の継続およびそのデータの統合, 分析を行った。その結果, 日本人大学生の英語学習動機づけモデルとして, 「充実・訓練志向」, 「関係・自尊志向」「実用・報酬志向」の3つの因子が観察された。さらにそれら3つの因子と学習者の個性, 日本語力, 英語力の関係を分析した結果, 日本語力が英語力に与える影響が大きいことがわかった。さらに日本人大学生を対象とした長期的インタビュー調査を6月に終了し, データベース化した被験者の発話を分析した。その結果, 学生の計画立案力, 学生を取り巻く人たちの存在, 英語に対するニーズとウォンツ, 学生の自信の欠如, 大学の英語の授業に対する不満足観という5つの要因が上がってき, それらが学習活動に影響を及ぼしていることがわかった。特に, 学生が高校と大学の英語学習環境の変化にうまく対応できておらず, その結果, 学生の英語学習活動に負の影響を及ぼしているということが明らかになった。本研究において, 学習者の英語学習活動に影響を与える要因については明らかになったが, 具体的に授業内・授業外においてどのように学生 (学習者) にアプローチすると英語学習活動の促進に有効であるかについては, 結論がでなかった。今後の研究課題としたい。
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