昨年度に引き続き、北大植物園博物館所蔵鳥類標本ラベル情報の撮影とデータベース登録を行い、古い台帳との照合作業を進め、約60%の調査を終えた。この作業検討により、過去の標本管理方法を把握することができ、現在採集情報が明確ではない標本についても研究資源として求められる情報を付与できることが判明した。また、過去の標本台帳が有する歴史的背景について検討し、明治期の博物館の標本管理方針、実際の作業内容を把握するにいたっている。 標本管理・活用の歴史的経緯を把握するための調査も昨年度に引き続き実施した。山階鳥類研究所・国立科学博物館の全所蔵標本の確認を終え、北大植物園博物館から移管された標本の全容を把握した。その結果を北大植物園博物館の旧台帳と照合し、交換当時に利用していた管理ラベル、管理体制を把握することで、北大植物園博物館に現存する標本のみでは判然としなかった経緯・運営についても明らかとすることが可能となった。また、この調査の過程で山階鳥類研究所旧蔵資料の一部が学習院中等部に移管されていることが判明し、その情報についても入手・整理を行った。さらに、帝国大学理科大学、アメリカ自然史博物館、ストックホルム自然史博物館との標本交換の記録について調査を行い、北大所蔵標本及び旧台帳との比較検討も実施した。 標本が引用されている史料、論文、台帳、目録類の保存と活用を目的として、そのすべてをPDFファイルとして閲覧できる体制を整え、調査研究の遂行を効率的に実施するとともに、今後の搏物館運営に供することとしている。
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