前年度と同様、研究計画の第一作業として挙げた中世後期商人関係史料のデータベースの作成を進めた。本年度は、室町〜戦国期の商人データを、中心に収集した。 テキストは前年度と同様に『大日本史料』を中心に、未刊部分は『史料総覧』をもとに諸史料をもとに検索した。未刊史料については、近年、「小西康夫家所蔵文書」(京都の酒屋関係文書)や『八瀬童子会文書』(京都の土倉関係文書)などの公刊が相次いでおり、これらの内容は従来の商人像に再検討を迫るものといえる。さらに、賀茂神社、京都市の手で近年整理が進められている「上賀茂神社文書」(新出分)からも土倉の姿が明らかにでき、以上のデータ収集によって、新出史料群を組み込んだ新しい16世紀の商人論を展開することが可能になった。その一部は、下記の「乾家と法華堂領荘園」、及び「応仁の乱後の京都市場と摂津国商人」(『立命館文学』605号、2008年)で公にした。
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