研究概要 |
中間年度たる本年度は.初年度における「荘園制の成立」に関する研究成果を深化させるべく,東・西両境界地域における中世荘園の成立を、国土支配のなかに位置づけつつ比較検討することにとりくみ、その成果の一端を口頭報告「西の境界からみた奥月と平泉政権」(2007年度東北史学会大会シンポジウム「日本史の中の世界遺産平泉」)として発表した。その内容は今後補訂のうえ文章化される予定である。 また「荘園制の展開」に関する研究として、鎌倉後期にはじまる荘園制再編と権利文書群の位置づけの変容との相互関係について追究し、その成果は論文「鎌倉期矢野荘公文職考-権利の文書化という視点から-」(『ヒストリア』210号、2007年6月)として公表予定である。くわえて、近年の荘園制研究のなかで特筆すべき業績である西谷正浩『日本中世の所有構造』(2006年、塙書房)の書評にて、今後の荘園制研究における課題を析出する機会をえた。
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