研究概要 |
(1)中央アジア・新彊地域出土のウイグル語税役制度関係文書のうち諸種物件の供出命令文書(行政命令文書)86件について,既収集の写真複製・画像データに基づいてテキスト転写・英訳作業を開始した。これは現在も継続中である。 (2)ウイグル文供出命令文書にみえる未解明の術語を扱った旧稿(松井『東洋学報』79-4,1998)の内容を補訂して,中国で開催された国際吐魯番学会報告論文集に中文で発表した。これにより,中国新彊現地のウイグル語文書所蔵機関・研究者からの反応が期待できる。 (3)イスタンブル大学中央図書館に所蔵される古代ウイグル語税役制度関係文書について,渡航のうえ原文書を調査した。これに基づく研究論文を投稿し,現在印刷中である。またイスタンブル大学には,やはり税役制度・社会経済史と密接に関係するウイグル語文書の写真複製資料が所蔵されでおり,これを現地研究者と共同で調査した。その成果は共同論文として現在印刷中である。 (4)ウイグル語税役制度関係文書をとりまく歴史的背景に関わるものとして,中国甘粛省敦煌から発見されたモンゴル語文書を解読校訂の上,新彊・東トルキスタンから甘粛河西に至るウイグル仏教徒の巡礼活動を明らかにした。この点も,現在印刷中の論文で扱われている。
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