10世紀から12世紀前半までユーラシア東方の盟主として繁栄した契丹国では、支配者集団から郷村レベルの民衆にいたるまで、仏教信仰が社会のすみずみまで浸透していた。本研究は、中国の内蒙古・遼寧・北京・河北などで最近新発見があいつでいる当該時代の考古・石刻資料を活用して、契丹支配下における仏教と国家・社会とのかかわりを多角的に明らかにすることを目指した。慶州白塔をはじめとするいくつかの史資料の個別具体例を精査・分析することによって、未知の新史実を掘り起こし、今後の当該分野の研究の基本的な方向性を示した。
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