本研究では、第一に軍人皇帝時代におけるパルミラの支配者であったオダエナトゥスの経歴を復元した。第二に、パルミラ帝国を倒した皇帝アウレリアヌス(在位270〜275年)がローマに導入した太陽神信仰とパルミラの太陽神信仰との間に深い関係があったことを指摘した。そして、第三にパルミラ史の根本史料の一つであるラテン語史書『ヒストリア・アウグスタ』に含まれるオダエナトゥスやゼノビア、ヘレンニアヌス、ティモラウスなどの当該時期のパルミラの支配者たちの伝記の翻訳及び訳注を行った。これらの作業を通して、軍人皇帝時代におけるローマ帝国とパルミラの関係についての知見を深めた。
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