イギリスの対アジア貿易の輪郭はインドを支配する東インド会社によってすでに形作られていたが、18世紀末以降、ロンドン・カルカッタ・広東にビジネス拠点をもつイギリス私商人が東インド会社の商業帝国に新規参入していった。本研究では、とりわけ急速にビジネス・ネットワークを伸張させたロンドン東インド商会群に焦点を当て、それらのビジネス戦略の諸特徴、東インド会社の経営活動との関係、あるいは他地域の東インド商業利害との間で生じる競合関係や相互協力関係を明らかにした。さらに、グローバルな規模で展開した東インド商業利害集団の諸活動から生まれるダイナミズムが、アジア・アフリカの諸地域を公式・非公式的に支配していったイギリス帝国主義の原動力になっていたことも、本研究において明らかになった。
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