ホロコーストにおけるユダヤ人財産の略奪、その戦後の返還、そして1990年代末に始まる補償問題の再燃という、約70年にわたるユダヤ人の財産問題の軌跡を追い、その全体像を明らかにした。その結果、財産問題が戦後を通じてくすぶり続けてきた理由が明らかとなり、さらにヨーロッパでユダヤ人が奪われた財産の返還補償が、パレスチナでは土地を追われたアラブ人の財産問題という、新たな問題と関係していることが示された。研究成果は『ユダヤ人財産は誰のものか-ホロコーストからパレスチナ問題へ』(白水社2008年)として発表した。
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