歴史史資料、諸法律、国際条約、映像その他の収集・分析と、現地での面談調査等を通じて、エストニアにおける民族をめぐる政治(国籍政策、言語政策、社会統合)は、時代を通じて大きな衝突を引き起こすことは少なく、表面上安定して見えるものの、その歴史的背景に起因する「ネイション」観や、歴史認識が社会の中に容易には越えられない亀裂を生み出しているため、二国間関係や国際関係等の理由により、その亀裂が社会の不安定化の要素として顕在化する場面があることが明らかになった。また、少数者の側から見た場合、「移民/少数民族」という二分法の適用が難しい事例があることも示された。
|