日本の瓦生産において大きく影響を与えた朝鮮半島の様相を日本の様相と比較検討すべく、今回は道具瓦-鬼瓦と鴟尾-を取り上げた。これまで文様研究ばかりであった統一新羅期の鬼面瓦について集成を行い、データを採取して、基礎的資料を作成することを目的としている。 本年度は調査先の韓国国立慶州博物館の都合で繰越となっていた遺物調査を行い、調査のまとめを行った。 8月に行なった韓国国立慶州博物館所蔵の鬼瓦資料の調査は昨年度に引き続き雁鴨池出土資料の悉皆調査であった。雁鴨池はその存続が統一新羅期に限定され、統一新羅期のさまざまな遺物が大量に出土した遺跡である。その遺物は統一新羅期にほぼ限定されるという意味で統一新羅研究において非常に重要な位置を占めると考える。瓦の出土も非常に多く、同笵関係などを追いかけながら入念な調査を行ないつつ、雁鴨池出土鬼瓦資料全ての調査を完了した。データ整理も行い、そのデータは国立慶州博物館と共有しつつ情報交換も行った。このデータが公表されれば今後の基礎資料となりうるものであり、成果の発表については、国立慶州博物館と現在も協議して進めている。 韓国における古代瓦の考古学的研究はまだ端緒についたばかりであり、特に道具瓦については殆ど行われておらず、研究テーマ自体もユニークである。韓国国立博物館とのこれまでの学術交流や当館が国立慶州博物館で開催した展覧会の担当者として培った人的つながりから、今回の調査研究が可能となった。今後は今回の成果を元に日韓の比較研究などを進めていきたいと考えている。
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