研究概要 |
この申請ではアジアの途上国から高次の専門教育機会を求めてオーストラリアの大学や大学院に進学する留学生の急増,および彼らが都市グローバル化にもたらす各種のインパクトに焦点を当てた。従来の製造業や金融に代表される事業所サービス業の集積の調査のみならず,留学生の急増過程の調査を通して,いかなるインパクトが都市のグローバル化を推進するのか,さらにそのための社会・経済的条件,地域的条件は何かを明らかにすることに主眼を置いた。主たる対象都市はオーストラリア首位都市のシドニーと,同2位のメルボルンである。 研究初年度の平成18年度は,オーストラリアにおける現地調査を2度にわたり実施した。1次調査は平成18年8月に2週間程度の現地調査を行った。収集したデータは帰国後すみやかに分析を進め,詳細な調査対象事項を選定した。この分析結果をもとに,11月に,第2次調査を(10日程度)実施した。これら2回の調査により,シドニー・メルボルンともオーストラリア移民局,州政府(ニュー・サウス・ウェールズ州およびヴィクトリア州),各市当局,主要大学当局における資料収集を進めた。 また,本申請に先だって実施した予備調査の際に収集した資料をもとに,メルボルン大都市圏の構造変容に関する地理学的な考察について,現地オーストラリアの学術雑誌に論文を投稿し,無事に掲載された。また,国内では日本とオーストラリアに関わる研究分野では最大の学会である「オーストラリア学会」においても口頭発表を行なった。 これらの調査や研究発表・議論を通して,次年度以降に予定している詳細な分析について焦点を絞ることができた。
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