研究概要 |
本年度は, 本研究の最終年度であるため, これまで実施してきた調査に基づいて分析を進め, その結果を論文や学会に発表することに重点を置いた. 若年者の仕事に関しては, 大分県内の工業高校卒業生(男性)と商業高校卒業生(女性)に対してインタビュー調査を実施し, 職業キャリアを中心に彼らのライフコースを把握してきたことを踏まえ, 彼/彼女らが地域労働市場においてどのような位置づけにあり, 専門高校が地域労働市場においていかなる役割を果たしているのかを明らかにし, 日本地理学会で発表するとともに, 「地域と経済」, 「地理科学」に論文を発表した. また, 高度成長期に開発された大分市の2つの郊外住宅地において, 親世代の社会属性と居住経歴, ならびに子世代の社会属性や居住動向を把握するアンケート調査を実施したことを受けて, アンケートのデータをある程度分析した上で, 協力者についてインタビュー調査を実施した. そしてアンケート調査による量的分析とインタビュー調査による質的分析を組み合わせて分析を進め, その結果を人文地理学会において発表した.2000年代初頭には日本の若年労働市場の状況が厳しかったため, 日本の若年者の働き方はそれまでとは大きく異なるものとなり, 海外に活躍の場を求める若者が増加した.海外で働く若者については, これまでの実態調査に基づいて「地理学評論」に論文を公表したほか, そうした事実を海外に発信するため, バルセロナにおいて開催されたIGUの部会において発表した.
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