戦国期・織豊期城下町研究には、都市景観の構成要素、スケール、時期、景観描写の現実と認識との相違についての基準を明確化し、多面的かつ実証的な景観復原と空間分析を行う歴史地理学の方法・視点が必要であると考える。そして、このような視点・方法を導入し、全国の主要な戦国期・織豊期城下町を対象として空間構造の再検討を行った。その成果を総括した結果、ローカルな歴史的・地理的文脈に規定され、社会構造の変化とともに変遷を繰り返す、当該期城下町の動態的な空間構造が明らかとなった。ここから、地域の資史料分析とフィールドワークに立脚した空間構造の変遷プロセス研究の有効性を主張した。
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