研究概要 |
本年度はまず,電気機械メーカーと精密機械メーカーの研究開発組織に関する文献調査を行った。データベース作成に関しては,上場企業で資本金規模が100億円以上,複数事業所制・複数事業部門制企業で研究開発機能を有するメーカーを抽出して,『全国試験研究機関名鑑』,『有価証券報告書』,『Annual Report』の各年版を用いて,時系列での研究開発組織の変化を考察した.対象メーカーの研究開発活動に関しては,新聞・雑誌記事を調査時点からさかのぼって1990年までを対象にし,機能変化・人員増減・配置転換などのデータベース化を進めた.この時点で,研究開発機能の組織的な変化についてある程度傾向が把握できた.それと同時並行で売上高・営業利益・研究開発費・研究開発部門従業員数・研究所/開発センターの拠点数等も上記資料や業界資料(『電子工業年鑑』など)などから時系列でデータベース化を進めている.数量化されたデータベースを計量経済学的な手法で統計解析にかけ,データベース化した記事と組織的な変化の考察とあわせて,研究開発活動の類型化と特徴的な傾向を明らかにすることを次年度以降の課題とした. こうした文献調査と統計解析をふまえ,特徴的な立地変動や組織再編がみられるメーカーの研究開発部門に予備的な聞き取り調査を行った.聞き取り調査では,立地変動の背景にある要因,組織再編の方向性,生産部門や管理部門との連携,共同研究や産学連携への社内での位置づけ,研究所や開発センターなど事業所間の情報フローなどに重点をおいて,文献調査と統計解析から得られた知見をより深めて考察している。これらの立地変動と組織再編に関しては,国内の学会で2件口頭発表した。
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