研究課題
本年度は、家畜預託及び世帯経済分析に関わる生態・経済人類学理論、ポスト社会主義の狩猟牧畜論にかかわる人類学文献研究を行うと共に、サハにおける家畜飼養経営形態及び私有家畜に関わる統計資料の収集とサハ中央部及び北部において民族誌調査を行った。年度前半には、関係する文献収集と文献研究を実施した。特に家畜預託と世帯経済の分析に関わる理論的問題を検討し、本研究に必要な諸概念を理解に努めた。またシベリア先住民の生業活動の今日的社会文化的文脈について、サハ以外の事例検討を行った。9月後半から10月中旬にかけて約一月ほどロシア連邦サハ共和国にて現地調査によって民族誌資料を収集すると共に、質問票をもちいた社会調査を実施した。まず、同共和国首都のヤクーツクから1300キロ離れた北部のオレニョク郡オレニョク村及びハリヤラフ村、及びジリンダ村(サハ人及びエヴェンキ人の民族混合コミュニティ)を訪問し、そこで質問票にもとづく家畜預託及び世帯の家計調査を行った。収集サンプル数は100を超え、十分な形で資料を得ると共に、面談調査による質的資料も十分収集することができた。その後、ヤクーツク市に戻り、ヤクーツク市近郊の複数の村落において家畜委託の実態と「自営」牧夫による家畜管理について参与観察に基づく調査を行い、民族誌資料を収集した。年度後半には、収集した資料の整理・分析を、アルバイトの協力のもとに進めるとともに、統計資料を中心としたサハ地域の家畜飼養全般についてのレポートをまとめた。英語での執筆したレポートは、11月に京都で行われた国際シンポジウム(Crossing Disciplinary Boundaries and Re-visioning Area Studies、主催京都大学大学院アジアアフリカ研究科)における招聘講演において口頭発表(英語)し、現在報告集が(印刷中)である。また質問票による調査の結果の一部については分析を行い、2007年2月における東北大学東北アジア研究センター共同研究「旧ソ連を中心とするポスト社会主義世界におけるマイノリティ・ビジネスの展開と私的所有観生成についての学際的研究」第三回研究会にて口頭発表(英語)した。
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Asian and African Area Studies,Special Paper 10
ページ: 63-76
Northeast Asian Studies 11(In press)
Current Anthropology 47-6
ページ: 1009-1016