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2008 年度 実績報告書

東南アジアのグローバル化とミドルクラス・アイデンティティ生成の文化論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18720243
研究機関広島大学

研究代表者

関 恒樹  広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教 (30346530)

キーワードフィリピン / グローバル化 / ミドルクラス / アイデンティティ / 文化の政治
研究概要

本研究の目的は、近年のグローバルな人の移動によって拡大しつつあるトランスナショナルな社会空間が、いかなる差異性と共同性によって構成されているかという点を、フィリピンのマニラ首都圏の事例から考察することである。具体的には、まずフィリピン社会におけるグローバリゼーションの帰結の一側面として、フィリピンからのトランスナショナルな人の移動が引き起こす、国内社会階層の分断化、社会関係の断片化という状況を調査することを目的とした。さらに、そのような分断化、断片化の中にありつつも、新たな共同性の生成に結び付く人々のネットワーク構築を明らかにすべく、現地でのフィールドワークを行った。殊に本年度は、これまでの成果を踏まえつつ、補足調査を行うと同時に学会・研究会などでの成果発表を試みた。フィリピン、マニラ首都圏マリキナ市の都市下層住民居住区において、海外出稼ぎ労働者家族の住民互助組織の活動に注目しつつ、草の根住民組織が様々なNGO、政府組織、政党などとのネットワークを維持しつつ、公共的空間を拡大する実践に注目するとともに、調査地のコミュニティ開発の側面を「コミュニティ抵当事業(Community Mortgage Program, CMP)」の事例研究から明らかにすることを試みた。CMPはフィリピンにおける都市貧困層の土地政策の主軸をなすプログラムである。同時にそれは、フィリピンにおいて1990年代以降本格化した地方分権と住民の自助に基づくコミュニティ開発として、ネオリベラルなコミュニティ開発の典型例ともいえる。本年度の調査はこの事例を基に、ネオリベラルなコミュニティ統治とそれがもたらした住民階層間の差異と分断、その一方で萌芽的に見出される共同性、社会的紐帯の動態に注目した。この事例調査は未だ最終成果には至らず、今後の更なる調査継続が必要不可欠となる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] グリーン・ネオリベラリズムとエイジェンシーの共同体-フィリピンの海域資源管理の事例から2009

    • 著者名/発表者名
      関恒樹
    • 雑誌名

      文化人類学 73(4)

      ページ: 477-498

    • 査読あり
  • [雑誌論文] トランスナショナルな社会空間における差異と共同性の生成2008

    • 著者名/発表者名
      関恒樹
    • 雑誌名

      グローバル時代におけるフィリピン社会-差異と共同性

      ページ: 105-152

  • [学会発表] トランスナショナルな社会空間における差異と共同性の生成-マニラ首都圏のOCW互助組織の事例から-2008

    • 著者名/発表者名
      関恒樹
    • 学会等名
      第13回フィリピン研究会全国フォーラム
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      2008-07-06
  • [学会発表] トランスナショナルな社会空間における差異と共同性の生成本フィリピン・マニラ首都圏の事例から2008

    • 著者名/発表者名
      関恒樹
    • 学会等名
      日本文化人類学会第42回研究大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2008-05-31

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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