本研究は、マレーシアの華人新興宗教徳教の発展と拡大のプロセスに焦点を合わせ、移民社会における徳教の独自の教団モデルの形成及びそれをめぐる現象を考察したものである。具体的に、徳教がこれまでどのような担い手によって、そしてどのようにして自身の展開モデルを形成してきたのか、徳教をめぐる社会現象をどう理解すればいいのかということを明らかにし、現代マレーシア社会における華人教団の一形態を描き出した。また、移民がいかにして出自社会の宗教要素を選択的に取り入れ、主体的に独自の教団形態を構築してきたのかを論じ、移民と宗教の新たな理論構築を試みた。
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